和波 孝禧 様
使用機器:ブレイルメモスマート16、ブレイルメモスマート40
ユーザーの方々にケージーエス製品の活用方法を語っていただく『コラム「ケージーエス製品 私はこう使う!」』
今回は、バイオリニストの和波孝禧様に語っていただきました。
音楽をお仕事にされている、和波さんならではの使い方のお話も聞かせていただきました。
いつも貴重なご意見をいただいています。ブレイルメモスマートやブレイルメモには和波さんが提案してくださった機能も多くついています。
皆さん、どうぞお楽しみください。
私は現在76才、ヴァイオリンの演奏と指導を通じて、クラシック音楽の分野で活動しています。
2004年にブレイルメモ24を使い始め、現在はブレイルメモスマート40と16、そして、稀にブレイルメモポケットも使用しています。
生まれつき全盲で、小学校に入るころには日本語と初歩的な楽譜の点字が読めた私は、とにかく点字なしでは生活できない人間です。仕事上では、今も毎年数曲から10曲を超える楽譜をボランティアに点訳していただき、それを勉強して自分のレパートリーを増やしたり、生徒のレッスンに用いるなどしています。
また、私は日記をつけるのが趣味で、ほぼ毎日点字板や点字タイプライターで日記を書いていました。しかし、紙に書かれた点字はとてもかさばるので、自分の書いた日記や、点訳していただく楽譜のしまい場所に苦労するようになり、その解決策として、90年代半ばからパソコンや点字の電子手帳を使い始めました。
最初は、海外製の点字ディスプレイを使用していましたが、ブレイルメモと出会って、すっかりこの製品のファンになってしまいました。メニュー項目やエラーメッセージなど、すべてが日本語で表示されるのが嬉しかったし、豊富なショートカット機能やカスタマイズ機能を備えていたので、自分で使いやすいように、いろいろ工夫して楽しみました。
ブレイルメモスマートになって、カスタマイズの可能性が減ったのは、いたずら好きの私にはいささか残念ですが、旧ブレイルメモになかったさまざまな便利機能が追加され、私にとってのブレイルメモスマートは、仕事上の秘書として、また、遊び相手として掛け替えのない存在になっています。
仕事の現場で
長年音楽大学の講師を務めてきた私にとって、試験の採点に立ち会うのは、大切な仕事でした。
また、重要なコンクールの審査員の仕事も、40年程前から続けています。
こうした仕事では、演奏を聴きながらメモを取ることが必須ですが、点筆で書くと、どうしてもポツポツと音がして、周りの審査員や聴衆に迷惑をかけるので、恐る恐る点を打つというストレスがありました。しかし、ブレイルメモを使えば、キーボードの音は静かで、少し注意すれば周りに気兼ねなくメモを取れるようになりました。
自分の採点は、ノートパソコンを持っていて、エクセルファイルに書き込んで提出するのですが、イヤフォンでパソコンの音声を聴いていると、演奏に集中できなくなります。これも、パソコンとブレイルメモを繋いで、点字ディスプレイを見ながら操作すれば、耳は演奏を聴くことに集中することができて、大変便利です。
講演の時はタイムキーパー
時々お話を頼まれることがありますが、私は必ずお話したいことをブレイルメモに書き込んでおき、それを見ながら話します。そして、たとえば1時間の講演なら、始まりの時間から30分後、45分後、55分後などにスケジュール・アラームをセットしておきます。すると、その時間になると、原稿の文字がアラームに仕掛けたメッセージに切り替わるので、時計を見なくても経過時間がわかり、安心してお話しすることに集中できます。
旅行先で
以前は海外へもよく出かけていましたが、飛行機や列車の中で日記を書いたり、読書したりするのも、ブレイルメモのお蔭で驚くほど便利になりました。
旅行では、点字本を1・2冊鞄に入れるのがやっとですが、ブレイルメモなら好きなだけいくらでも持ち歩けます。10数時間のヨーロッパへのフライトでも、1冊の本に飽きたら、まったく別のジャンルの本に切り替えて気分を変えることもできます。
楽譜は、紙に書かれた点字楽譜を用いていた時は、点字がつぶれないように箱に入れるなどして、大切に持ち歩いていましたが、今は、旅行先で演奏する曲をブレイルメモに入れておきさえすれば、いつでも読むことができるので、非常に安心です。
旅行にはBMS16を持ち歩くことが多いので、32マスでレイアウトされた楽譜を読むには難しい面もありますが、慣れてくれば不可能ではありません。
また、楽譜を読んでいて気付いたことなど、楽譜の中に自分で書き込みを加えることもできるので、そのようにして保存しておくと、次回勉強する時に大変役立ちます。
ゲームで気分転換
ブレイルメモスマートには、ゲーム(ホビー)も入っていて、よい息抜きになっています。
私は、専ら「白黒」で遊ぶのですが、これは本当に面白く、奥深いゲームです。内容は「オセロゲーム」とよく似ていて、ブレイルメモを相手に遊びます。相手の強さを5段階から選ぶことができ、私は弱い方から3番目までには必ず勝てるのですが、4番目の「すみれさん」には勝ったり負けたり、そして一番強い「あやまろさん」には偶にしか勝つことができません。こちらが1手打つと、相手はすぐに打ち返してきますが、私が長い時間次の手を考えていても、おとなしく待っていてくれます。また、こちらが前と同じ手で攻めて行っても、別の手で返してきたりするので、まるで人間と遊んでいるような感覚があり、「よくもこれほど面白いゲームを考えてくれたものだ」と大感謝です。
最後に、今後加えていただけると嬉しい機能ですが、私は旧ブレイルメモで、よく「初期設定文書」の機能を使っていました。特に「デイリーノート」は大変便利だったので、これが復活したらいいなと、微かな期待を抱いています。
また、「スマートコータクン」の外国語辞書を常用しているので、いずれ次の製品に買い替えることになった時に、それが使えないと困るかもしれないと、先々の心配をしています。
いずれにしても、ここまで述べてきたように、59才の時に出会ったブレイルメモは、高齢者となった私の日々の生活に、豊かな彩りと大きな安心感を与えてくれています。
ブレイルメモスマートAir16/32は、仕事に勉強にそして生活にと、いつでもどこでも点字と音声を利用した快適なモバイル環境を実現するコンパクトでクールな次世代型点字ディスプレイです。