お知らせ

「ケージーエス製品 私はこう使う!」第29回

2018.07.09

欧文印刷株式会社 様
使用機器:立体コピー作成機「PIAF」
使用内容:校正紙の作成

欧文印刷株式会社 様 ロゴの写真
欧文印刷株式会社 様

ユーザーの方々にケージーエス製品の活用方法を語っていただく『コラム「ケージーエス製品 私はこう使う!」』

今回は立体コピー作成機「PIAF」です。
これまで個人の方々がお使いになっている様子をお伝えしてきましたが、今回は企業でお使いいただいている様子をお伝えします。

印刷会社として社会貢献できないかと考え、模索していました。

弊社は昭和21年に、横文字専門の印刷会社として立ち上げたのが始まりで、マニュアルや商業印刷などを取り扱っております。また、自社工場を埼玉に持っており、一般的な製本までは一貫生産することができます。

もともと、新しいものを積極的に取り入れていく社風でして、今も新しいものに取り組んでいます。

その一つが、オフセット印刷の表面加工です。この表面加工を追及していった結果、触図や点字印刷をオフセット印刷機でできるようにしました。また、他にも「印刷とWEBの融合」というコンセプトで、弊社独自の製品を手がけていたり、紙製ホワイトボードマーカ「消せる紙(し)」や、ノートタイプのホワイトボード「nu board (ヌーボード)」といった弊社独自の商品として販売を行っております。

2010年頃より、印刷会社として社会貢献できないかと、模索していました。ある日、ニスの実験をしていたときに、「ポタッ」と垂らしたニスが、ポコッと固まり、「これで点字ができるのかな」と思い、表面加工での点字印刷の試作を始めました。そこから2013年に市場に出すまで長い道のりでした。いまでは、「サイトワールド」や「アメディアフェア」といった視覚障害者福祉機器展のレイアウト案内図を作成したり、テーマパークの蝕知図や浮世絵の蝕察本を作成しています。

実際に表面加工した触知図の写真
実際に表面加工した触知図
触知図を拡大した写真。印刷物の紙上に透明なUVニスで触図や点字を表現します。
印刷物の紙上に透明なUVニスで触図や点字を表現します。

校正紙を立体コピー作成機「PIAF」で作成することを始めました。

出来上がった触図を商品として出すときに、印刷会社として「校正はしなければならないだろう。」という考えがありまして、触図や点字の触読校正を、校正紙として作成する必要がありました。しかし、本機で作成すると手間やコストがかかってしまい、かつ校正結果がNGの場合、版元から作り直す必要があるため、さらにコストがかかってしまいます。この問題を打開するために、校正紙を立体コピー作成機「PIAF」(以下PIAF)で作成することを始めました。

お客様の中には、「点字はわからないので点字の校正はお任せします。」と言われてしまう場合があります。そういった場合は、視覚障害の方の所に出向き、PIAFで作成した物を読んでみてもらい、確認を行っています。

アメディアフェアにて配布された会場案内図の写真
アメディアフェアにて配布された会場案内図
PIAFで印字された会場案内図の写真。PIAFを使用して、凹凸の箇所の校正を行います。
PIAFを使用して、凹凸の箇所の校正を行います。

PIAFを導入する以前は、日本点字図書館さんに墨一色の出力紙を持参し、それを元に校正用の立体コピーを作成していただいたり、ケージーエスさんとは別の会社から出ている、立体コピーシステムのデモ機で作成してもらったこともありました。

事業として進めるにあたり、立体コピーシステムの導入の検討をしましたが、価格面の問題と、当時対応していた用紙サイズが最大B4だったこともあり、A3まで対応しているケージーエスさんのPIAFを導入することとなりました。

通常業務で使用しているプリンターの手差しトレイにカプセルペーパーをセットして使用しています。導入当社当初は、カプセルペーパー用の設定が必要になるのではないか懸念していましたが、特に調整することもなく使えているので、通常業務とのトラブルもなく順調に利用できています。

またPIAFの仕様上、A3サイズいっぱいに点字・蝕知図がある場合には、縁の部分が盛り上がりづらいので、熱の強さを調整するなど、工夫しながら使用しています。

PIAFで校正紙を作成しているときの写真
校正紙を作成している様子

晴眼者と視覚障害者が同じ資料を見ることができる

オフセット印刷の表面加工での、点字・触図印刷は、共用品の観点で墨字と点字が同じ紙面で確認でき、触地図も点図印刷に比べ表現豊かなものが容易にできるので、点字と墨字、そして触地図が一体となった物を配布物として提供できることが強みであると考えています。これからの東京オリンピック・パラリンピックに向けて、晴眼者と視覚障害者が同じ資料を見ることができることで、みなさまのお役に立てればと考えています。